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高次脳機能障害のご相談

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高次脳機能障害の後遺障害について

 

高次脳機能障害は医者が高次脳機能障害だと診断したからといって後遺障害に該当するわけではなく、保険金が支払われるわけでもありません。

 

自賠責保険の後遺障害認定審査にて該当するには、必要な書類等の提出準備を行い、申請手続を行わなければなりません。

 

高次脳機能障害の後遺障害等級認定には3つの要素があります。

 

 

1 頭部外傷後の意識障害、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること

2 頭部外傷を示す傷病名が診断されていること

3 2の傷病名が、画像で確認できること

 

1 高次脳機能障害の原因となる意識障害について

自賠責保険の後遺障害認定について、多くの認定結果を分析すると、

事故直後、頭部外傷の受傷直後に意識障害があることが大きなポイントになります。

 

脳の機能に障害が生じるわけですから、やはりそれなりの症状が発生することが通例だと考えられているからです。

 

救急搬送される際に意識があったかどうか、

病院到着後、何時間、何日間の意識障害があったのかを正確に把握しなければなりません。

 

そのためにも、「頭部外傷による意識障害の所見」という診断書を作成してもらいましょう。

 

頭部外傷による治療は長期化することが一般的です。

 

そのため、症状固定となったタイミングでこの診断書の作成を依頼すると、当時の主治医がすでに辞めてしまっていたり、

曖昧な記載になってしまうこともあります。

 

だからこそ、できるだけ早い段階で作成してもらうことが必要です。

 

具体的には、次のような症状が意識障害がの判断となります。

 

 

① 意識障害、半昏睡~昏睡で、開眼・応答しない状態

  

  JCSが3~2桁、GCS12点以下が少なくとも6時間以上続いていることが確認される症状

 

 

② 健忘あるいは軽度意識障害

  

  JCSが1桁、GCS13~14点が、少なくとも1週間以上続いていることが確認される症状

 

 

J C S

 Ⅰ 覚醒している

  (1桁の点数で表現)

 0 意識清明

 1(Ⅰ-1)見当識は保たれているが意識清明ではない

 2(Ⅰ-2)見当識障害がある

 3(Ⅰ-3)自分の名前・生年月日が言えない

 Ⅱ 刺激に応じて一時的に覚醒する

  (2桁の点数で表現)

 10(Ⅱ-1)普通の呼びかけで開眼

 20(Ⅱ-2)大声で呼びかける、強く揺するなどで開眼

 30(Ⅱ-3)痛刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼

 Ⅲ 刺激しても覚醒しない

  (3桁の点数で表現)

 100(Ⅲ-1)痛みに対し払いのけるなどの動作をする

 200(Ⅲ-2)痛刺激で手足を動かす、顔をしかめたりする

 300(Ⅲ-3)痛刺激に対して全く反応しない

GCSは、それぞれEの〇+Vの〇+M〇=合計〇点と表現します。

 

正常は15点満点、深昏睡は3点となり、点数が小さいほど重症だという判断です。

 

G C S

開眼機能E

(Eye opening)

 4 自発的に、または普通の呼びかけで開眼

 3 強く呼びかけると開眼

 2 痛刺激で開眼

 1 痛刺激でも開眼しない

言語機能V

(Verbal response)

 5 見当識が保たれている

 4 会話は成立するが見当識派が混乱

 3 発語は見られるが会話は成立しない

 2 意味のない発声

 1 発語みられず

運動機能M

(Motor response)

 6 命令に従って四肢を動かす

 5 痛刺激に対して手で払いのける

 4 指への痛刺激に対して四肢を引っ込める

 3 痛刺激に対して緩徐な屈曲運動

 2 痛刺激に対して緩徐な伸展運動

 1 運動みられず

 

 

2 頭部外傷を示す傷病名

高次脳機能障害に特有の、記憶喪失、記憶回路の損傷、遂行機能の障害、失語、聴覚、嗅覚の脱失、言語理解や認知の低下などの異常行動は、

全て、傷病名から由来していますので、傷病名について、正しく理解をすることが大切です。

 

まずは、頭部のイメージが理解できるとわかりやすいと思います。

 

脳は、外側から、頭がい骨→硬膜→くも膜→軟膜→脳というように、層になっています。

大切な脳を守るための私たち人間の身体のつくりです。

 

硬膜外〇〇と言えば、頭がい骨と硬膜の間、硬膜下〇〇と言えば、硬膜とくも膜の間ということで使われます。

 

脳に近い部位が損傷すれば、それだけ脳に対する影響も大きくなります。

 

なお、交通事故によって頭がい骨骨折などと診断された場合、頭がい骨骨折=脳損傷ということではなく、

頭がい骨の内側(硬膜、くも膜、軟膜など)や脳の損傷などを伴わなければ、脳への影響はありません。

 

 

                                            頭部外傷

 

 

脳挫傷

 脳挫傷とは、頭部への直接的な強い打撃による脳の打撲状態のことで、交通事故などの外傷によって

 頭蓋骨の骨折部位から入り込んだ異物や骨の断片によって、脳組織が挫滅、砕けてしまう損傷のことです。

 衝撃を受けた部位が損傷を受けるのはもちろんですが、脳が衝撃によって突然に加減速するため、

 その部位と反対側が頭蓋内面に打ちつけられ、そちらも損傷を受けることがあり、これを対側損傷と言います。

 脳挫傷は脳の出血や腫れを引き起こすこともあるため、脳挫傷と併せて、びまん性軸索損傷や外傷性くも膜下出血

 などの傷病が診断されることがあります。

びまん性軸策損傷

びまん性脳損傷

 びまん性軸索損傷では、脳の神経細胞の一部である軸索が広範囲に損傷した状態で、一般的に、脳表面に点状出血が

 広範囲に広がります。

 交通事故による強い衝撃で、頭部に回転性の外力が加わると、脳の神経細胞の線維、つまり軸索が広範囲に断裂し

 その機能を失うと考えられています。

 びまん性軸索損傷では、6時間以上持続する意識消失を起こし、手術は役に立たないため、通常、びまん性軸索損傷と

 診断されると、相当に深刻な後遺障害が予想されます。

急性硬膜外血腫

 頭蓋骨と、頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜の間に出血がたまって血腫になったもので、多くは、硬膜の表面に

 浮き出たように走っている硬膜動脈が、頭蓋骨骨折に伴って傷つき、出血し、硬膜と頭蓋骨の間にたまって硬膜外

 血腫になります。

 脳のと接する硬膜「下」ではなく、脳を包む硬膜の「外」の血腫ですから、傷病名が急性硬膜外血腫のみで、

 大きな意識障害をともなわないものは、一般的には高次脳機能障害を残すことはないとされています。

急性硬膜下血腫

 頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜と、脳の間に出血がたまって血腫となったものです。

 脳挫傷、脳組織の挫滅によって、そこからの出血が脳の表面、脳表と硬膜の間に流れ込み、硬膜下腫となります。

 脳挫傷の衝撃を受けた部位の対角線上に、急性硬膜下血腫が認められる事例もあります。

 血腫による圧迫と脳挫傷のため、頭蓋内圧が亢進すると、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などが認められます。

 血腫による圧迫が脳ヘルニア状態にまで進行すると、場合によっては死に至ることもあります。

くも膜下出血

 脳を包んでいる髄膜の3層のうち、硬膜のさらに内側にある薄い、くも膜と脳の間の出血をくも膜下出血と言います。

 交通事故のような外傷を原因とするときは、外傷性くも膜下出血と診断されています。多くの診断では、脳挫傷と

 併せて認められています。

 症状は、出血の範囲、出血による脳の圧迫によって異なりますが、激しい頭痛や嘔吐が見られます。

 脳表部の部分的なくも膜下出血であれば回復しますが、広汎な出血や脳底部の出血となると深刻な後遺障害も

 予想されます。

脳室内出血

 脳の中心部にある、脳室と呼ばれる空洞に出血したものです。脳室は脳脊髄液で満たされており、その脳脊髄液は

 いくつかの脳室を順に流れていきます。

 脳室内出血によって脳脊髄液の通り道が詰まると、上流にある脳室が急速に拡大して、周囲の脳を圧迫します。

 これを急性水頭症と言い、徐々に流れが滞り脳室が大きくなった場合は、正常圧水頭症と診断されます。

 脳挫傷、脳組織の挫滅によって脳室の壁が損傷を受け、そこからの出血が脳室内にたまって脳室内出血に至ります。

 症状は、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などが認められ、早急に手術が必要になります。

 

3 高次脳機能障害の原因とな画像所見があるかどうか

高次脳機能障害が生じるということは、脳にそれが起こりうる何らかの異常が発生することが通例だと考えられます。

 

その異常を客観的に判断するために、まずは、傷病名、くも膜下出血や硬膜下血腫、微慢性軸索損傷などといった傷病と診断されることが必要です。

 

さらに、その診断されることとなった根拠、一般的には医師がMRIやCTなどによって出血の有無や損傷個所を判断していますので

そのような、画像上の異常な所見を確認できることが必要になります。

 

 

脳挫傷

脳挫傷①

脳挫傷②

 

 

 

びまん性軸索損傷(点状出血)

びまん性軸索損傷(点状出血)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急性硬膜外血腫

急性硬膜外血腫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くも膜下出血

くも膜下出血

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脳室内出血

脳室内出血

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外傷性てんかん

脳挫傷や頭蓋骨陥没骨折などの場合、後遺障害として外傷性てんかんが残存することがあります。

 

交通事故の受傷直後にけいれん発作が見られることがありますが、これは一時的なものであって、

外傷受傷後1週間以内に起こる早期てんかんとは区別されています。

 

一般的に後遺障害として残存する外傷性てんかんは、外傷受傷後8日以降におきる晩期てんかんのことを言います。

 

交通事故による外傷によって、脳が何らかの損傷を受けると、その損傷部から発せられる異常な電気的信号に、

周辺の正常な脳神経細胞が影響され、勝手に過剰興奮し、発作が起こると考えられています。

 

意識障害の継続期間が長いほど発症率が高い傾向にあります。

発症時期は、外傷後2年以内に発症することが多く、その後、発症の可能性は低くなることが一般的です。

 

主な症状としては、発作にともなうけいれんがほとんどで、突然、意識を失ったり記憶が飛んだり、

急に活動が止まり昏倒するなどの意識障害となることもあります。

 

また、発作を繰り返すことにより、脳神経細胞も損傷が広がり、性格変化などの精神障害や場合によっては人格崩壊に至る可能性もあります。

 

 

外傷性てんかんの立証については、主治医がてんかん発作の診断をしていれば特段の必要はありません。

 

症状が起きる前に検査を行うよりも、発作が起きたことに家族が気づき医師へ報告し、検査、診断となることが多いので

被害者の症状に変化があれば、すぐに医師へ報告してください。

 

なお、診断の際には、脳波検査を行い、その結果をもとに診断していますので、

外傷性てんかんと診断され、後遺障害等級認定の手続を行うときには脳波検査の結果を提出します。

 

外傷性てんかんの診断は「神経系統の障害に関する医学的意見」に記入されます。

 

治療は、薬物療法、一般的には発作を抑える抗けいれん剤を内服し、その期間は長期にわたります。

 

交通事故による外傷性てんかんの場合、症状固定後も服薬しなくてはならないことも多く、

その場合は、保険会社に対し、将来かかる治療費や調剤費用についても請求することを忘れてはいけません。

 

 

 

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