交通事故発生から解決までの流れ
突然の交通事故に遭ってしまった場合、弁護士へ相談してみたいと思っても、
何を相談したらよいのかわからないと言われるかたがたくさんいらっしゃいます。
いつでもご相談いただけますが、まずは基本的な流れを把握しておくことで安心できると思います。
あなたにとって必要なサポートは 、交通事故が発生してからどの段階かによって変わりますので、それぞれ確認してみてください。
1.事故の発生
ケガをした場合は、事故の当日、または翌日など、早めに病院へ行きましょう。
病院では事故の状況や痛みを感じる身体の症状を全て伝え、診断書を発行してもらいます。
診断書を発行してもらったら、その診断書を警察へ届出ましょう。
警察に診断書を提出するのはなぜでしょうか
警察の処理として、交通事故を「人身事故」と「物件事故」とに分類して対応しています。
人 身 事 故 ・・・ 死傷者が発生した事故
物件(物損)事故 ・・・ 車などの物的損害(物損)のみ、死傷がなかった事故
事故証明書を取得すると、事故証明書右下(右図の赤枠)に人身事故か物件事故か記載されます。
警察に診断書を提出すると、人身事故として処理されることになります。
その場合、通常では、警察の交通事故係が事故現場の調査を行い、現場の見取り図を作成します。
また、事故当事者双方の位置関係や道路状況、スリップ痕があるかどうかなどの確認を行い
距離なども図面に書き表されます。
この現場見取り図を作成することがとても重要です。
今後、過失割合などが争点となった場合、非常に重要な証拠となるのです。
物件事故として処理された場合、このような見取図は作成されません。
警察署によっても取扱いが異なるようですが、物件事故の場合は物件事故報告書という
事故現場の図面が簡易的に作成されるだけなのです。
しかも、”簡易的”に作成されているので、
物件報告書の開示ができない警察署もあります。
そのため、ケガをした場合は、警察に診断書の届出をして、
人身事故の処理を行うことがとても大切になるのです。
2.治療(入院・通院)
まずは懸命に治療に専念して、少しでも症状が緩和するようにリハビリを継続することが大切です。
治療期間はケガの傷病や症状によって異なります。
打撲なら1か月から3か月、捻挫なら3ヶ月から6か月、骨折なら6か月以上がひとつの目安となっています。
しながら、傷病によっては治療を続けても完治せず、後遺障害が残ってしまう可能性があります。
その場合、後遺障害等級認定の申請を行いますが、その時に必要となる画像の撮影や検査を、
早い段階で行っておくことが必要となる場合があります。
傷病はもちろんですが、症状は年齢や性別などによっても変わります。
一人ひとりの傷病や症状に合わせて、治療初期の段階から、今後の見通しをたて、
戦略的に準備を進めることが大切です。
医師がレントゲンに異常がないから大丈夫だ、と言いますが本当に大丈夫なのでしょうか
診断名が頚椎捻挫や腰椎捻挫と診断された場合には、MRIを撮影してください。
骨折しているかどうかを確認するのはレントゲンですが、頚椎捻挫や腰椎捻挫などの、
目に見える異常がない傷病の場合は、MRIを撮影しておくことが大切です。
通院している病院が、レントゲンしか撮影できない場合、
MRIを撮影できる病院を紹介してもらい、紹介状を持って、MRIの撮影だけに他の病院へ行きましょう。
レントゲン ・・・ X線撮影(X‐P:X‐ray Photograph)検査です。
骨折や骨病変、肺病変や腹腔内などを検査する時に利用されます。
MRI ・・・ 核磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)検査です。
磁石と電波を使って体内の内部を断層的に撮影します。
頸椎や腰椎のヘルニア、脳梗塞や脳腫瘍などを検査する時に利用されます。
放射線被曝の心配がないので、妊娠中のかたの検査にも利用可能だと言われています。
CT ・・・ コンピュータ断層撮影(C‐T:Computed Tomography)検査です。
X線を使って、生体内の内部を断層的に撮影します。
三次元的データとして見ることが可能なため、撮影した部位を様々な角度から確認することができます。
3.治療終了・症状固定
治療を継続し、受傷した症状が軽快すれば治療は終了です。示談交渉を進めます。
では、長い間、治療を続けたにも関わらず、痛みが残ってしまったり、手が曲げられない、足が動かないなどという症状が
残ってしまったらどうなるのでしょうか。
そのような場合には、症状固定となります。
症状固定とは、これ以上治療を継続しても、治療の効果が期待できないような時期になると、医師が判断して決定します。
一般的には、少なくとも半年間(6か月)は治療を継続し、その経過を観察して今後の回復状況を検討します。
この時、症状固定とするかどうかは医学的な判断となるので医師の診断が必要です。
整骨院や接骨院などの治療機関での判断はできませんで、その時点での通院状況には気を付ける必要があります。
4.後遺障害等級認定
完治、治療終了と医師が判断した場合、後遺害等級認定の手続きは必要ありません。
医師が、症状固定時においても、痛みや症状が残存していると判断した場合は後遺障害診断書を作成します。
この時も、医学的な判断が必要ですので、整骨院や接骨院などの治療機関ではこう障害診断書を作成できません。
交通事故の後遺障害等級認定の申請手続には、2つの方法があります。
まず1つ目の方法ですが、相手方の保険会社が申請手続を行ってくれる「事前認定」という方法があります。
もう1つの方法が、被害者側が自ら申請手続を行う「被害者請求」という方法になります。
いずれの方法による申請手続も、交通事故の後遺障害診断書を作成し、
自賠責保険会社に必要書類などを収集・提出して「損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)」における審査を経て、
認定結果が出る点では同じ手続といえますが、それぞれの違いは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
事前認定 |
資料収集など申請手続をやってもらえるので 手間がかからない |
①自分に有利な医証などが提出できない ②申請過程を把握できない ③認定結果が分かるのが遅い ④認定されても、自賠責保険分の保険金が すぐに支払われない |
被害者請求 |
①自分に有利な医証などが提出できる ②不利な事情を補う文書を作成して提出できる ③事前認定と比べて認定結果が早く分かる ④認定されると、先行的に自賠責保険分の 保険金が支払われる |
資料収集など申請手続を自分でやる必要があるので、手間がかかる ⇒弁護士に依頼すれば、代わりに申請手続をやってもらうことはできます |
「事前認定」で被害者側が自らすべきことは、基本的に、交通事故の後遺障害診断書の作成を主治医に依頼し、
交通事故の後遺障害診断書が完成すれば、それを受け取り、相手方の保険会社に送付するだけです。
そのほかの必要書類などの収集・提出の手続は、相手方の保険会社がやってくれます。
そのため、申請手続としては、とても楽です。
しかし、「事前認定」のメリットは、それだけです。
どんなに被害者の方が症状に苦しんでいても、相手方の保険会社は、単に必要書類などの収集・提出をするだけで、
交通事故の後遺障害等級の認定がなされるような工夫・努力は一切しません。
なぜなら、言うまでもなく、相手方の保険会社は、被害者側の味方ではなく、
また、交通事故の後遺障害等級認定がなされ損害賠償額が飛躍的に上がると困る立場にあるからです。
「被害者請求」のメリット・デメリットは、「事前認定」のメリット・デメリットと表裏の関係にあると思っていただくとよいでしょう。
自ら申請手続をする場合、自分に有利な医証などを作成・提出できるということが最大の理由といえます。
確かに、自分で提出するため「被害者請求」は、手間がかかるので面倒くさいかもしれません。
しかし、自ら工夫・努力をして申請すれば、仮に、思うような結果が出なくても、一応の納得を得られます。
「事前認定」で、申請手続の過程が分からないまま結果だけダメでしたと言われても、人間なかなか納得できるものではありません。
そうであれば、納得できる認定結果を得る、すなわち、適切な交通事故の後遺障害等級認定を得るためには、
やはり、「被害者請求」による申請を選択することをお勧めします。
後遺障害診断書の作成で気を付けておくこと
後遺障害診断書は受傷時からの症状や、後遺障害となる残存した症状を書面としてまとめて作成する重要な診断書です。
基本的な記載ポイントは3つです。
①自覚症状
自覚症状の記載欄には、自分の痛みを感じる部位やその程度などを医師に伝え、
医師が書きます。
「痛みが事故に遭ったその時から、ずっと変わらずに継続していたこと」を
書くことがポイントです。
逆に「○○の時は痛い」などと書いてしまうと、
その時だけ痛いということは、それ以外の時は痛くない、
つまり回復傾向にあると判断されてしまい、
交通事故の後遺障害等級としては認定されないことがあります。
②他覚症状および検査結果
この記載欄には、X‐P、MRI、CTなどの画像所見から見られた異常について記載します。
また、神経学的所見の有無について記載をします。
神経学的所見とは、神経学的テストよってどの部位に障害が存在するのかを判断した結果です。
負傷した身体の部位によって受ける検査も変わってきますが、検査を受けることが大切です。
また、骨折などによって、手や腕、足などに可動域制限(動かない、曲げられない)が生じてしまった場合
その角度を正確に測ることが重要です。
この時、手足腕は左右を比較しますので、
健側(受傷していない事故前と変わらない方)と患側(事故により症状が残存した方)の両方を測定します。
③障害内容の憎悪・緩解の見通しなどについて
この記載欄は医師の最終判断といってもよいでしょう。
これまでの通院履歴、最終的な検査等の結果、後遺障害が残存するものなのか否かの見解を書きます。
「改善余地なく、症状固定」「症状が残存している」などという見解は、
今後の改善余地が不明として後遺障害となりうる可能性がある状況と判断されます。
しかしながら「改善の余地あり」「回復傾向にあり」という判断であれば、
後遺障害となる可能性は低いことから、交通事故の後遺障害等級認定にも該当しない可能性があります。
5.損害賠償請求・示談交渉
基本的には、示談、合意をすると交通事故の損害賠償交渉は解決、終了になります。
しかし、後遺障害が残存してしまった場合、その後も治療やリハビリのために通院を続けたり
痛みを感じながら生きていくことになります。
だからこそ、示談の時には慎重に、納得できる示談金を回収する必要があります。
示談が成立すると、示談書や免責証書、合意書に署名及び捺印をして締結します。
特段の理由がない限り、加害者被害者ともに「債権債務がない」ことに同意し、証明することになりますので
その後、やっぱり納得できないなどということは認められません。
実際、保険会社が示談を提示する時に、弁護士が請求する金額を提示してくれることはほぼありません。
突然に示談金額が書かれた書面が送られてくることもあり、それぞれの項目についての説明もしてくれません。
まずは、示談書の内容を理解し、保険会社から提示された金額が妥当なのかどうかを確認するために
弁護士へご相談されることをお勧めします。
後遺障害が残存しないケースでも20万円以上、
後遺障害等級認定がされたケースでは100万円以上、増額がされるケースがほとんどです。
どのようなことが保障されているのか、金額の算定根拠を確認し、納得したうえで示談に応じることが大切です。
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さち総合法律事務所(広島弁護士会所属 弁護士野村幸保)は
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さち総合法律事務所(広島弁護士会所属 弁護士野村幸保)は広島中央交通安全協会の協会会員として交通事故や交通死亡事故を減らすため交通安全運動に協力しています。